すでに忙しい日々 #3

 こんにちは。土曜日はコアタイムではないのですが、行いたい実験が増えるばかりで、早いうちに消化しておきたいこともあって、土曜日も(早い時間帯だけですが)研究室に行き始めました。日曜日はなるべく暇な時間を多くして、食べ歩いたり散歩したり読書したり勉強したり、自由にのびのびと生活させてもらっています。こうしてブログを書くのも日曜日がメインになります。思ったこととか、直接人に話して共有しようとは思わないけれど、届けたい人に届いているといいな、と思って。
 
研究室って異質な環境だよね
 研究自体は社会と密接に関わっているのに、当の研究室の内部についてあまり知られていなかったりします。企業なんぞ悪事があるたびにボロボロ内情が暴かれていきますけど、研究室についてはそうでもなかったり。近年、インターネット上(特にTwitter)で曝露されることが増えたような気がします。
 
経験主義との板ばさみ
 もちろん実験は経験があってこそスムーズに進められるものと思うのですが、その「経験」なるものが広く一般に共有されているわけではないな、ということ。企業秘密があるように研究室にもそれぞれの秘技なんかがあると思うんですが、そうではないものもあるはず。研究に携わる人であれば知っていることは、研究に携わりたての人にはほとんどわかりません。そういうのを見せつけられるとモチベーションって上がりにくいと思います。そのギャップを埋める何かがあると、少しでも研究が好きになれるのかな、と。
 研究室配属は強制ですし、「好き好んで研究がやれる!」と前向きに捉える学生の数ってかなり少ないと思います(私はそのマイノリティではあると思っているのですが)。
 
 例えば、この本は研究室に入ってから重宝しています(実験手順は冗長なので、ところどころ変えたりしますが……)。
 
 
研究室で最も大切なのは人間関係かもしれない
 人間関係の点でとにかく恵まれていると思っています。やはりギスギスしているのは当事者の場合はもちろん、傍から見ていても気分のいいものではありません。たまにそのような様子を他の研究室で見かけると、いたたまれない気持ちになります。身体の健康は精神の健康から。人間関係を境に正のスパイラルと負のスパイラルのどちらをたどるかが割と決まる、そんな感じがしています。
 
勉強で意地を張っていた人々が自信を失っていく様子をすで見かけている
 中学受験、高校受験、大学受験……。このような節目で、とてつもない実力を発揮する人たちはごまんといますが、燃え尽きてしまった人、自分に合わないと思って諦める方向に進んでいってしまった人は、どのコミュニティでも一定割合はいて、その中で自分にあった道のりを見つけて進む人もいれば、あてもなくさまよい続け惰性で過ごしている人もいるでしょう(私の身の回りの情報に影響されているところは否めませんが)。
 研究室配属も同様の節目に該当するのかもしれません。むしろ「受験」なんかより実はよっぽど大きい節目なのかもしれません。これまで先人の考えをただ学んでいればよかっただけの生活から、今度は未知の領域に飛び込んで自分で開拓していかなければならない。実験というのは概して失敗します。だからこそ、これまで成功の体験を積み重ねてきた人ほど、そのギャップにやられるようです。
 その意味で「勉強」は、自ら進んで行おうと、どこまでも受動的なんじゃないかなと思います。勉強は前提なのですね。
 私は見下そうと思っているわけではありません。やはりそういう状況があるのは避けられないんだな、というどうしようもない感情を抱いています。誤解なきよう。
 
実験は冒険だと思えば楽しい
 今まで成功体験を重ねてきている人にとって、研究は苦痛に感じるようです。私は実験なんてうまくいかないものだと思っていますし、実験していく中で「こんな分子の形をしているのに、こいつに溶けるのか……!」とか「NMRで想定される位置以外にも有意なピークが見られるけど、これって重溶媒と相互作用しているんじゃない?」とか、ささやかな発見があります。そういったものを大事にしていく積み重ねが肝要な気がしています。
 そもそも私たちが行なっている「科学」の営みは、エポックメイキングな発見をしようということではありません。偶然と幸運がもたらした結果に期待しすぎるのは博打ですからね。そうではなく、これまで先人たちが構築してきた理論をもとに実験を組み立て、基礎研究であれ社会への応用を意識した研究であれ、少しずつ各分野を伸ばしていく。球に近い「科学」という立体があったときに、ある微小な面(各分野)でちょとした成果が出たら、内部から外へ少し押し出せる。各分野によって発達度合いはさまざまでしょうから、「球に近い」というのは正確ではないですね(笑)そして、「その中で分野同士つなげたらこういうことが起きる」という発見があると2倍の伸びが出てくる。そうやって徐々に「科学」を大きくしていく営みこそ、現在のところ正しい取り組み方だと思っています。そう思わないとやっていられない、という消極的な理由もあるかもしれませんが……(笑)
 
TLCってほんとうに大事ですね
 こんなささいなもので、溶媒を変えるだけで反応が進行しているかどうかを示してくれるのはありがたいことです。普段は「ヘキサン + 酢酸エチル」を使いますが、原点に滞留し続ける物質に対しては「クロロホルム + メタノール」を使います。メタノールは比率を少し変えるだけで、展開溶媒の極性を大きく変えることになるので、注意して扱うようにしています。
 そういえば、TLCを写真に撮ると自動的にRf値を算出してくれる、とても都合のいいアプリがあります。案外知られていないようです。
 
TLC Chemistry Tools

TLC Chemistry Tools

  • PoChu Hsu
  • ユーティリティ
  • 無料

 

 
今週は自分の限界に挑戦してみました
 この一週間は、どの人よりも多く実験をしたと思います。実験を複数並行させていたのはもちろんのこと、考察から解析処理まで割と忙しく、その中でもちゃんと食事はとるようにしていましたが、結構進めた感じがします。実験操作自体はかなり慣れてきて(もしかしたら思い込みかも……?)、たぶんこれくらいが自分の実験遂行能力の限界なんだろうな、と感じることができました。こうしておくと、今後の自分がやりやすくなるような気がしています。最大がわかっているというのは何においても精神的負担は減らせると思います。
 
4年生という立場でいろいろ考えることはある
 4年生だから今はゆるいのだろうかという懸念はあります。考えるべき細かなファクターが散らばっているのは事実なのですが、正直今の段階では気づかないことも多いです。知識もないし、気づきもできない。それでもやる気はあるので、どういったことを実験してはっきりさせたいのか、という実験の方向性は自分で切り開くようにし、データの解釈や対照群の設定は自分で組み立てつつ、先生にアドバイスをもらう、という形で進めています。今できることはアグレッシブに突き進むことです。
 他の研究室だとだいぶ先生が学生にアプローチしてくれるようです。私たちが異質なのかもしれませんが、むしろ学部生主体で学ぶことが増えてぼくは良いと思っています。
 
自分なりの進め方を確立
 僕はなるべく実験は並行させて進めたいと思っているので、平日はとにかく実験を進めることに集中し、土曜日はデータ整理をする、ということに決めています。これから土曜日がコアタイムになったとしても、そのようなスタイルを続けたいと思っています。
 
とりあえずこんなところです。今は、グループ内で行われる隔週の報告会に向けて資料を作成中です。たくさん実験してきたこともあって、報告自体も負担は重いけれど、がんばります。また何かあれば書こうと思います。